ソウルからヨボセヨ

今夏の納涼・愛国映画は?

夏の暑さをしのぐ意味で日本には「納涼」という言葉がある。「納涼花火大会」や「納涼何とか祭り」がそうだ。以前は〝納涼お盆映画〟として怪談モノがよく公開された。今でいえばホラー映画だが、幽霊などが登場しゾクゾクする恐怖感が納涼になったというわけだ。

こんな日本的な夏の文化が韓国にももたらされ、かつては夏になるとホラー映画がよく上映されたが、近年は反日・愛国主義の歴史モノが定番になっている。それも抗日独立軍やテロリストが登場して日本と戦い日本をやっつける話がもっぱらで、今年はもっとさかのぼって16世紀に豊臣秀吉の水軍と戦った李舜臣(イスンシン)将軍の話だ。

李舜臣物語は「韓国の忠臣蔵」みたいなもので繰り返し映画化されるが、8年前に観客動員1761万人の新記録を作った映画『ミョンリャン(鳴梁)』に味を占めた同じ監督の『ハンサン(閑山)』がそれ。タイトルはいずれも地名で、今回も少数の軍船で日本の大軍を撃破する派手な海戦シーンが売りになっている。

双方が大筒で砲撃戦を展開するなど史実無視も多いが、李舜臣の知略によって日本船が次々と撃沈され退散する風景は韓国人にはいつも痛快だ。ただ前回に比べると観客の出足は鈍い。夏の愛国モノにはいささか食傷したか?(黒田勝弘)

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