「BA・5強化宣言」割れる自治体対応

帰省ラッシュで混雑するJR東京駅の東海道新幹線のホーム=11日午前、東京都千代田区(松井英幸撮影)
帰省ラッシュで混雑するJR東京駅の東海道新幹線のホーム=11日午前、東京都千代田区(松井英幸撮影)

新型コロナウイルスの流行「第7波」を受け、政府が新設した「BA・5対策強化宣言」をめぐって、都道府県の対応に温度差が出ている。すでに半数以上が対象地域に指定されたが、自治体への財政支援などがないことから「何の役にも立たない」と否定的な声もある。政府は、蔓延(まんえん)防止等重点措置の適用などの行動制限を行わずに感染拡大を押さえ込みたい考えだが、医療提供体制の確保などが焦点になる。

政府が7月に導入を決めたBA・5対策強化宣言は、病床使用率が50%を超えるなど医療現場の負担が高くなった場合に都道府県が発出する。都道府県は高齢者らへの外出自粛要請や、ワクチン接種の呼びかけなどを行う一方、国は対象となった地域に感染対策の助言や指導を行ったり、職員を派遣したりする。

木原誠二官房副長官は「全国一律で行動制限を求めるということではなく、各地域の実情に応じた、知事の取り組みを支援する」と狙いを説明する。お盆休みで人と人が接触する機会が多くなるため、注意喚起を促す「アナウンス効果」(厚生労働省幹部)の面もある。

内閣官房によると、対象地域は12日までに大阪府や北海道、沖縄県など24道府県に上っている。自治体にとっては政府の〝お墨付き〟を得て対策を行えるメリットがある。病床使用率が50%を超えた自治体は多く、宣言はさらに増える可能性もある。

一方で、宣言に距離を置く自治体もある。関東では埼玉、神奈川、千葉、栃木の4県が対象地域になったが、東京都の小池百合子知事は「すでに必要な対策を講じている」と否定的だ。和歌山県の仁坂吉伸知事は、宣言を出した場合に国から派遣される職員について、「邪魔だ。何の役にも立たない」と指摘する。

背景には、重点措置や緊急事態宣言であれば、自治体は事業者に営業時間短縮要請などを行え、国から協力金などの財政支援もあるが、強化宣言はそうした措置がないこともある。

13日には東京の新規感染者が前週の同じ曜日より7千人余り減るなど、第7波にピークアウトの兆しがみられつつある。政府は全国の感染者用の病床を5万床に引き上げており、政府関係者は「感染者数よりも重症者数や病床が回っているかを見る必要があるが、今の状況なら対応していける」と語る。

政府は、お盆休み期間中の医療態勢を確保するため、都道府県に臨時の発熱外来の開設や、診療・検査が可能な施設の公表などを要請したほか、日本医師会にも協力を求めた。加藤勝信厚労相は「限られた医療資源を重症化する恐れがある方々の命を救うことに注力できるよう持っていくことが大事だ」と強調する。(村上智博)

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