ウクライナ南部原発への攻撃激化 露と非難の応酬

ザポロジエ原子力発電所に向かう露軍=5月、ウクライナ南部(AP)
ザポロジエ原子力発電所に向かう露軍=5月、ウクライナ南部(AP)

【ニューヨーク=平田雄介】ロシア軍が占拠しているウクライナ南部ザポロジエ州の原子力発電所で11日、砲撃が相次ぎ、現地の親露派勢力とウクライナ側は互いに相手が攻撃したと非難した。ザポロジエ原発は欧州最大級で、事故が起きれば1986年のチェルノブイリ原発事故を上回る被害が出るとの懸念が高まっている。国連のグテレス事務総長は、ザポロジエ原発周辺での軍事行動を停止するよう双方に呼びかけた。

タス通信によると、ザポロジエ州の一部を制圧したロシアが一方的に設けた「軍民行政府」のロゴフ幹部は11日、ザポロジエ原発があるエネルゴダールの町や原発施設に、ウクライナ軍が無人機による攻撃や砲撃を行ったと述べた。ロシア製防空システムですべて迎撃したとしている。

一方、ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは11日、原発をロシア側が攻撃したため、勤務を終えた職員を乗せるバスが引き返し、引き続き業務を続けざるを得なくなったとした。双方とも、小規模な火災が起きたが負傷者はいなかったとしている。

ザポロジエ原発には5、6日にも砲撃があり、ウクライナとロシア側が非難合戦を展開した。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は11日の国連安全保障理事会で演説し、原発の安全性を確保するために立ち入り調査の実施を求めた。ロシアのネベンジャ国連大使は「早ければ月内にも立ち入りが可能だ」と述べたが、十分な調査を実施できるかは不透明だ。

同原発はウクライナに侵攻した露軍が3月に占拠した。稼働中の原発が戦闘の標的になったのは史上初とされる。露軍は兵士500人を常駐させて兵器を搬入し、軍事拠点として使っているもよう。原発の安全性を懸念するウクライナ軍が反撃できない「核の盾」だとして、ブリンケン米国務長官らが批判していた。

ロシアは侵攻後にチェルノブイリ原発も一時制圧するなど、ウクライナのインフラ掌握を主要な目標としてきた。エネルゴアトムのコティン総裁は9日、ロシアはザポロジエ原発を制圧し、一方的に併合した南部クリミア半島への送電を計画しているとの見方を示した。

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