自身を重ねて動物に向き合う 映画「ハウ」池田エライザ

映画「ハウ」に出演した女優の池田エライザ(左)とベック=東京都中央区(松井英幸撮影)
映画「ハウ」に出演した女優の池田エライザ(左)とベック=東京都中央区(松井英幸撮影)

心に傷を負った青年と心優しい保護犬のハウとの絆を描いた映画「ハウ」(犬童一心監督)。青年にそっと寄り添う職場の同僚、足立桃子を演じた女優、池田エライザ(26)は「久しぶりに、ご覧になる方の心が浄化されるような作品をお届けできるのでうれしい」と思いを語った。

台本を読んだとき、「ありのまま演じられると思った。自分にぴったりというか、無理なく演じられる」と感じた。冒頭には、桃子がホームレスを見つけて助ける印象的な場面がある。「桃子は優しさからやっているのではなく、『気づいてしまったのに無視できますか?』という気持ちでやっているだけ」

自身も実生活で同じような体験をしている。飼っている鳥のエサを買いにいったペットショップで、ケージの中でぐったりとしたラグドールという種類の猫を見つけた。抱っこしても無反応で気になり、店に4日間通い詰めた。

「(このまま売れ残ったら)この子はどうなるのだろう。繁殖猫にされたり、殺処分も待っているのではないか。『気づいてしまったのに無視することはできない』と思って、家に迎えることにした」

動物病院に連れて行くと、致死率が高い難病と診断された。3カ月間、投薬治療を続け、症状がほぼない状態にまで回復。猫の名前は、自身が好きな漫画のキャラクターから「シャンプー」と名付けた。

この作品で演じた桃子も猫好きで、愛猫の死から立ち直れずにいる役柄だ。「家族であり、尊い存在でもあるシャンプーが、自分の生活からいなくなるかもしれないという恐怖心を抱いていた時期だったので、自然体で演じることができた」

最も好きな場面は、居酒屋で主人公の民夫(田中圭)から、「悲しいという気持ちを完全に消すことはできないけれど、上手に戸棚にしまっておくことはできる」とアドバイスされるシーンという。

「忘れるとか、考えないようにするとかではなく、ありがとうの気持ちを込めて戸棚の一番きれいなところ、いつでも取り出せるところにいてね、という考え方にすごく感動した」

本作の魅力を、こう表現した。「動物と暮らしていると純粋で真っさらな気持ちにハッとすることがあり、そのピュアな感情に学ぶこともたくさんある。この映画も、ハウの真っすぐな目線が心の老廃物をいっぱい流してくれると思う」(水沼啓子)

いけだ・えらいざ 平成8年生まれ、福岡県出身。「高校デビュー」で映画デビュー。主な出演作は「ルームロンダリング」「貞子」「騙(だま)し絵の牙」「真夜中乙女戦争」など。女優、ファッションモデル、歌手、映画監督、カメラマンとマルチに活躍。

19日から東京・丸の内TOEI、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。共演は田中のほか石橋蓮司、宮本信子ら。1時間58分。

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