井崎脩五郎のおもしろ競馬学

「ベーブ」の子孫の物語

ベーブ・ルースの記録(同一シーズンに2桁勝利&2桁本塁打)。これに大谷翔平選手が並んだ。メジャーリーグにおける史上2人目の壮挙。

やったねえ。

居酒屋に行ったら、この話題で持ち切り。

「ベーブ・ルースほどの超大物になると、競走馬の名前になってますか?」

「ああ。なってるかもねえ」

早速、名馬の血統を網羅した「ファミリーテーブル」にあたってみたところ、ベーブ・ルースはいなかったが、ベーブという名前の馬が、1頭だけ載っていた。1912年生まれの鹿毛の牝馬。

このベーブ(Babe)という馬が、競走年齢に達した1914年。まさにおりしもというべきか、ベーブ・ルースが3月にインターナショナルリーグ(マイナーリーグ)のボルティモア・オリオールズに入団。たちまち7月には、メジャーリーグのボストン・レッドソックスに昇格している。豪腕豪打。その人気にあやかって、この牝馬に、ベーブという名が付いたのかもしれない。

血統通の記者に聞いたら、このベーブという牝馬は、母子3代にわたって、赤ん坊に関連した名前が付いているのだという。

ティンクル(Tinkle)=おしっこ

ベーブ(Babe)=赤ちゃん

アイマベビー(Ima Baby)=アイマ嬢

「こんなふうに、3代続けて、いわゆる幼児語の名前が付いているのは、馬をよほどかわいがる人たちが、そばにいたのかも」

この血統は、その後、日本に輸入されている。

アイマベビーの孫の孫にあたるのが、驚くなかれ、あの名馬テンポイントなのだ。テンポイントの祖母は伝染病で殺処分の命令が下ったのに、誤診とみた関係者が馬を秘匿。裁判で生存権を得て、その血からテンポイント(有馬記念など重賞8勝)が出た。米で、日で、かわいがられたんだなあ。(競馬コラムニスト)

会員限定記事会員サービス詳細