「1日4万歩」スリ犯逃さぬ「猛者」 大阪府警捜査員に密着

街頭で目を凝らし、スリ犯を追う大阪府警捜査3課で「猛者」と呼ばれる捜査員ら=令和4年7月11日午後、大阪市北区(小松大騎撮影)
街頭で目を凝らし、スリ犯を追う大阪府警捜査3課で「猛者」と呼ばれる捜査員ら=令和4年7月11日午後、大阪市北区(小松大騎撮影)

7月中旬、大阪・キタの繁華街。行き交う人波を縫うように早足で歩く男性の姿があった。気温30度を超える猛暑の中、男性は「1日4万歩は歩き回りますね」と涼しげに語り、1万5千円の特注という靴に目を落とす。雑踏で財布などを抜き取るスリ犯ばかりを追い続けて14年目。大阪府警捜査3課のベテラン捜査員、通称「猛者(もさ)」に記者が密着した。

「スリ犯の眼が落ちる瞬間を逃さないように気を付けている」。スリ犯捜査の基本を捜査員が語る。

「眼が落ちる」とは、スリ犯特有の眼球の動き「スリ眼(がん)」のこと。スリ犯が標的の位置などを視認する一瞬の動きを捕捉するため、数十メートル先の空間を視野に入れて百貨店や商店街、駅前など人混みができやすい場所を歩き回る。服装はカジュアルなものが多いが、場所に合わせて変える。景色に溶け込むことが重要だ。

捜査3課によると、猛者はスリ犯の不審な挙動を雑踏から見つけ出し、逮捕につなげる。肝心なのは、スリ眼をはじめとしたスリ犯特有のさまざまな所作をいかに察知するかだ。

捜査員と一緒に大阪市内の百貨店を訪れた。多くの買い物客でにぎわう食品売り場は、スリ犯が出没しやすいスポットの一つ。スリに遭わないためには、どうすればよいのか。

捜査員は「まずは、かばんのチャックを閉めて体の正面に置くこと。会計時に商品を受け取ったり財布を取り出したりする際、周囲を警戒することも大切」と話す。ベビーカーなどにかばんをかけている人や、ズボンの後ろのポケットに財布やスマートフォンを入れている人が狙われやすいとも教えてくれた。

スリといっても、千差万別。抱きついた隙に財布を盗んだり、ピンセットでポケットから現金を抜き取ったり。犯人ごとに手口や狙う場所、人は異なる。捜査員は「スリ犯は人の隙を常にうかがっている」と言葉に力を込める。

とはいえ、一般市民が四六時中、スリを警戒するには限界がある。「そのためにわれわれ(猛者)がいる。買い物や遊びに来た府民や観光客に悲しい思いをさせたくない」。捜査員はそう語ると、足早に雑踏の中へ消えていった。(小松大騎)

隣の客に体をぶつけ…スリ犯捜査員がとらえた一瞬の違和感

会員限定記事会員サービス詳細