電気代で逆転現象 燃料費高騰で自由化料金割高に

電気事業連合会の池辺和弘会長
電気事業連合会の池辺和弘会長

火力発電用の燃料費高騰が長期化し、大手電力各社の家庭向け電気料金で、電力自由化後に設けられ安価とされてきた「自由料金」が、従来の「規制料金」より高くなる〝逆転現象〟が起きている。自由料金は各社の判断で値上げができるが、規制料金は監督官庁である経済産業省に申請した燃料費の基準価格の1・5倍までしか高騰分を反映できないためだ。原子力発電所の再稼働がすすまない中、ウクライナ危機の長期化を受けた石油や天然ガス価格の高止まりを受け、各社は頭を抱えている。

「今は異常事態だ」。7月15日の会見で、大手電力10社で構成する電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は厳しい経営環境を訴えた。

規制料金は2月分で北陸電力が値上げ上限に達して以降、上限到達が相次ぐ。9月分では東京電力が25年ぶりに上限に達した。未達は大手電力10社中、中部電力1社だけとなっている。

原因は燃料費高騰分を反映する燃料費調整制度(燃調)にある。各社の燃調の基準価格はウクライナ危機前に経産省から認可されたものだが、直近の燃料費急騰が想定を上回り、各社が次々と上限に達している。燃調の基準価格の再申請を行い価格転嫁の上限を引き上げることは可能だが、家計の負担が増している中では反発が予想され、目立った動きは見せていない。申請しても、内容が適正かの審査は数カ月かかる可能性がある。

家庭向け電気料金には規制料金以外に、オール電化住宅向けやガスとセットなどの自由料金もある。大手電力各社も電力自由化後、他社に顧客を奪われないように規制料金より安価となる自由料金のプランを数多く導入してきた。

ただ、逆転現象が発生。東京電力エナジーパートナー(EP)によると、9月分の規制料金の平均モデルの料金は9126円。ほぼ条件が同じ自由料金の場合9535円だった。中国電力も9月分の規制料金の平均モデルが8029円に対し、ほぼ同条件の自由料金は9605円。自由料金はガスなどとのセットに伴う料金割引など付随するサービスがあり単純比較は難しいが、規制料金の方が割安となっている。

規制料金の値上げが止まる一方で、自由料金だけ値上げが続くことは競争を促し、料金抑制を目指すという電力自由化の趣旨にも反する。岸田政権には迅速な対応が求められる。(永田岳彦)

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