金正恩氏「勝利」宣言も感染か 与正氏「病んだ」

全国非常防疫総括会議で演説する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)
全国非常防疫総括会議で演説する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は10日、平壌で開かれた全国非常防疫総括会議で、新型コロナウイルス感染症との防疫戦に「勝利した」と宣言し、防疫体制の緩和を表明した。妹の金与正(ヨジョン)党副部長も演説し、ウイルスは韓国の脱北者団体が散布したビラを介して流入したとし、韓国側に対する報復措置を警告した。朝鮮中央通信が11日伝えた。

与正氏は、正恩氏について「高熱の中、ひどく病みながらも、人民への思いで一瞬も横になれなかった元帥さま」と言及。正恩氏自身がコロナに感染した後、回復した可能性がある。正恩氏は5月以降、1週間以上動静が報じられないことが複数回あった。

正恩氏は会議で、国内でワクチン接種を一度も実施しないまま、7月29日から感染が疑われる発熱患者が1人も出ていないと主張。国内感染を初めて認めた5月以降、3カ月という「短期間」にコロナを克服した「世界の保健史に特記すべき奇跡だ」と強調した。

北朝鮮は、自身の体調を顧みずに防疫を指揮した正恩氏のリーダーシップを誇示する一方、防疫に伴う厳しい統制措置で経済が疲弊する中、韓国に責任転嫁して住民の不満をそらす狙いとみられる。米韓両軍は今月下旬から合同軍事演習を予定しており、北朝鮮がそれに対抗して軍事的挑発に踏み出す可能性もある。

与正氏は、韓国当局について「われわれの不変の主敵だ」と非難し、ビラなどの散布が続けば、「極めて強力な報復性の対応を加えるべきだ」と警告した。

北朝鮮は4月末以降、人口の約2割に当たる477万2813人の発熱患者が確認され、74人が死亡したと発表した。他国に比べて死亡率が異様に低く、国際社会では北朝鮮の発表内容が疑問視されている。

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