主張

新たなワクチン 混乱招かぬ丁寧な説明を

厚生労働省が新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した新しいワクチンの接種を10月半ばに始める方針を決めた。2回のワクチン接種を終えた全員が対象である。

現在の第7波で爆発的に感染が広がった背景には、若い世代などのワクチン接種が十分に進まなかったこともある。今後の感染拡大に備えるため、若者から高齢者まで幅広く接種を進めることは重要である。

これに資するよう、政府が新ワクチンの必要量確保に全力を挙げるべきは当然だ。同時に既存ワクチンの有効性の再認識も促し、ワクチンの種類や接種時期で国民の間に混乱が生じないよう、きめ細かく情報発信してもらいたい。

承認を前提に調達が予定されているのは米ファイザー社、モデルナ社のワクチンだ。新型コロナ発生当初の株をもとに作られた既存ワクチンと違い、新しいワクチンは当初株とオミクロン株の「BA・1」の双方に対応する「2価ワクチン」と呼ばれるタイプだ。流行中の「BA・5」にも一定の効果があると見込まれている。

厚労省は現時点で、5カ月の間隔をあけて接種することを想定している。必要量は十分に確保できる見込みとしているが、かつてはワクチン不足や遅延も起きた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

気がかりなのは、新たなワクチンが登場するまで接種しないでおこうとする動きが出かねないことだ。第7波の猛威が続く中で、3回目を接種しようと考える若者や4回目を予定する高齢者や基礎疾患のある人がいる。こうした人に既存ワクチンの接種控えが広がるようでは元も子もない。

世界保健機関(WHO)によると、従来型ワクチンはオミクロン株を含む全ての新型コロナに対して高い重症化予防効果がある。8日に開かれた専門家の会議では、対象者には既存ワクチンを早く接種した方がよいという意見が多かった。政府はこうした意見の周知を図り、引き続き3回目や4回目を急ぐよう促すべきである。

ワクチンをめぐっては、5~11歳の子供への接種に努力義務を適用することも決まった。オミクロン株への有効性や安全性のデータが集積されたためであり、妥当な判断だ。陽性者の増加とともに重症化する子供も増えている。これに対しても、あらゆる手を尽くしていきたい。

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