科学の注目論文 日本の国際的地位さらに低下 過去最低

文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は9日、日本などの世界主要国の科学技術に関する研究活動を分析した「科学技術指標2022」を公表した。他の論文に多く引用され、注目度のより高い論文を示す指標「Top1%補正論文数」で、中国が米国を抜いて初めて1位となった。一方で、日本は10位で過去最低。研究活動の国際的な地位低下を改めて示す結果となった。

2018~20年の3年間に、科学誌に掲載された自然科学の論文数を分析した。論文は複数の国の研究者による国際共著が多く、国ごとの論文への貢献度に対応して数値を補正。過去の数値と比較した。

主な指標でみると、日本の論文数は6万7688本(1年平均)で5位。前回(2008~10年)から1つ順位を下げた。論文数は約3000本増えているものの、世界各国の論文数は急増しており、日本のシェアは低下。10年前の8・9%に比べ、3・9%にとどまった。

注目度の高い論文を示す「Top10%補正論文数」では、トップの中国は4万6352本(1年平均)で、2位の米国は3万6680本(同)。両国で世界全体の約48%を占めた。一方、日本は3780本(同)で、前回より順位を2つ下げて12位。シェアは2・2%だった。

さらに注目度の高い「Top1%補正論文数」では、日本がシェア率1・9%の10位だったのに対し、中国はシェア率27・2%で米国を抜き、初めて首位に立った。日本は前回から順位を1つ下げて10位だった。中国は自国の研究者の引用が多いとされるが、同研究所は「今後注視していく必要がある」とみている。

日本の研究活動の国際的な地位低下については、同研究所は「欧米に比べると、日本は国際共著が弱く、いずれの指標も他国の伸びが大きく、相対的に日本のシェアが下がった。対策として、博士課程の入学者への支援などを続け、人材育成に努める必要がある」としている。

このほか、研究開発費では、日本は17・6兆円で、米国、中国に次いで3位。労働力人口1万人当たりの研究者数をみると、日本は2000年代前半では主要国の中で最も多かったが、最新の数値では、韓国160・4人、フランス109・4人、ドイツ103・8人に次ぐ4位(98・8人)にとどまった。

研究者の人材に関しては、博士課程の入学者は2003(平成15)年度をピークに長期的に減少傾向にあり、博士号取得者でも、日本は1・5万人。米国の9・2万人、中国の6・6万人に大差をつけられており、人材の確保が急務の課題であることが浮き彫りになった。

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