トランプ氏、家宅捜索に詭弁で〝被害者〟主張

米フロリダ州パームビーチのマールアラーゴ邸で行われたビデオ電話会議に臨むドナルド・トランプ大統領(当時)=2019年12月(AP)
米フロリダ州パームビーチのマールアラーゴ邸で行われたビデオ電話会議に臨むドナルド・トランプ大統領(当時)=2019年12月(AP)

米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索を受けたトランプ前大統領は、退任後も2020年大統領選で大規模な不正があったとする根拠のない主張を続け、それを信じる支持者らの「数の力」を背景に共和党内の影響力を保ってきた。今回の強制捜査が最終的にどのような違法行為の立証につながるかは不透明ながら、トランプ氏が徹底抗戦を図るのは間違いない。

トランプ氏は8日の声明で「司法の武器化」「極左民主党による攻撃」などと主張し、捜査は不当だと訴えた。自身を〝被害者〟として支持者の怒りをあおる狙いがあるのは明らかだ。大統領選が「盗まれた」と主張しているのと同様の論法であり、同氏の常套(じょうとう)手段ともいえる。

トランプ氏は大統領選で落選を受け入れることを拒否。同氏を信じた支持者たちは21年1月、選挙結果を最終確定させる手続きを妨害するために連邦議会議事堂を襲撃した。この事件を巡っては、トランプ氏の関与について司法省が関係者への聴取を進めていると報じられている。

民主党主導の下院特別委員会では、トランプ氏の不正主張について、選挙後に当時の司法長官が「たわごと」だと同氏に伝えていたことも証言で明らかにされている。しかし、トランプ氏は、多くの証人が宣誓下で証言している同委の調査についても、「魔女狩りだ」などと主張し、やはり「被害者」であるとの姿勢を崩さない。

各種世論調査によると、共和党支持層では7割前後が大統領選で何らかの不正があったと信じ、約5割はトランプ氏が次期大統領選に出馬すれば支持するとしている。これが同氏の力の源泉だ。

トランプ氏は声明で、令状に基づく自身への家宅捜索を、ニクソン共和党政権時代の1972年に起きた民主党本部への不法侵入(ウォーターゲート事件)と比べ、「何が違うのか?」ともまくし立てた。こうした詭弁(きべん)と扇動を続けることが米政治をさらに危うくすることに、トランプ氏は関心を払っていない。(ワシントン 大内清)

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