霊感商法被害、3万人の1千億円超を確認

旧統一教会の信者が購入した教本や壺など。信者は同様の教本に3千万円を支払うこともあったという =大阪市北区
旧統一教会の信者が購入した教本や壺など。信者は同様の教本に3千万円を支払うこともあったという =大阪市北区

安倍晋三元首相の銃撃事件では、山上徹也容疑者の供述内容から、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)による霊感商法に注目が集まった。霊感商法は事件化などによって被害人数は減少したものの、いまもなお続いており昨年は約3億円の被害が確認された。

不安をあおり、壺(つぼ)や置物などに超自然的な霊力があるように思わせ、不当に高い値段で売り込む霊感商法。昭和60年ごろから社会問題化し、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、旧統一教会による霊感商法の被害は62年には約164億円にのぼった。

同会の渡辺博弁護士によると、霊感商法を行っている団体は他にも存在するものの、全国で大規模に行っているのは旧統一教会だという。平成21年には不安をあおり高額の印鑑を購入させたとして、警視庁公安部が特定商取引法違反の疑いで、旧統一教会と密接な関係にあった印鑑販売会社社長らを逮捕。これ以降、大々的な勧誘は鳴りを潜めたものの、同会が確認した被害はこれまでに3万人以上、1237億円以上にも及ぶ。

渡辺弁護士によると、何らかの方法で身内に不幸があった人などを探し自宅に訪問するなどして勧誘。その際はアンケートなどとして身元を偽り、被害者の話を親身に聞くことで信用を得る。最初は不安をあおるような話をせず、信用を獲得した段階で占い師などを紹介。事前に被害者から聞き取った情報をもとに話を進めながら「先祖が地獄で助けを求めている」「子供や孫に悪い因縁が及ぶ」などと話すという。

かつては壺などがよく販売されていたが21年の摘発を受けて、近年は「一番大切なものをささげることで悪い因縁を断ち切ることができる」などといって資産を取り上げる「浄財」が多いとされる。

平成30年の消費者契約法改正で、霊感商法は最大5年を期限に取り消し権を行使できる。しかし渡辺弁護士は「旧統一教会と正体を明かされても、その段階で被害者はすっかり信者になっていて訴えない」と指摘。取り消し権を行使できても、教団側が拒絶した場合は裁判をすることになり、被害者が霊感商法であることを証明しなくてはならない。

渡辺弁護士は「お金を払う前に家族や知人に相談し、見知らぬ人にはむやみに個人情報を明かさないといった対策が必要だ」と注意を呼びかけた。

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