「食」の魅力が万博から剥落 外食協会パビリオン断念

大阪・関西万博に向けて工事が進む夢洲=大阪市此花区(本社ヘリから)
大阪・関西万博に向けて工事が進む夢洲=大阪市此花区(本社ヘリから)

大阪外食産業協会が大阪・関西万博の民間パビリオン出展を断念する方針を固めたことは、会場全体の構成に影響を与えるだけでなく、「食」という大阪・関西の魅力を伝える重要な要素が万博から抜け落ちることを意味しかねない。問題の背景にある新型コロナウイルス禍や資材価格の高騰などは、他の出展者や建設事業者にも共通の課題であり、同様の事態がさらに広がる懸念も出ている。

「民間パビリオンは万博の〝華〟」。万博を主催する日本国際博覧会協会は昨年の民間パビリオン募集の際、こう表明して積極的な応募に期待を寄せた。1970年の前回大阪万博では28の民間パビリオンが出展し、「人間洗濯機」「ワイヤレステレホン」など未来の技術が提示されて来場者に強い印象を残した。今回の民間パビリオン出展は半分以下の13が予定されていたが、重要性は高い。

民間パビリオンは昨年9~10月に募集され、今年2月に13社・団体の出展が決まった。会場の人工島、夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)では建設予定地の基盤整備などが進み、来春には出展者に土地の引き渡しが行われ、パビリオン建設が始まる計画だった。

ただ、民間パビリオンの建設費用は「数十億円規模」ともいわれ、出展のハードルは低くなかった。さらに、世界的な建設需要の高まりや、ロシアによるウクライナ侵攻で資材価格が高騰し、工期が集中することによる人件費の上昇も予測されていた。

外食産業はコロナ禍で2年以上にわたり深刻な打撃を受けており、その影響は現在も続く。大阪の外食産業は特に訪日外国人客の恩恵を受けていた店も少なくなく、多くの店舗で打撃が深刻な状況だ。

大阪・関西の多様な食文化は外国人観光客の高い人気を集め、大阪外食産業協会の出展は万博の魅力の増大に大きく貢献すると期待されていただけに、辞退は万博運営に大きな影響を及ぼす。協会関係者は会場内での食事の提供などで貢献する意向を示すが、パビリオンの出展とは意義が異なる。資材価格や人件費の高騰は、他の出展者や会場建設工事に携わる企業にも影響を与えており、万博への関与をあきらめる企業が増える事態も懸念される。

国や日本国際博覧会協会は、万博の準備・運営を確実なものにするために、早急な対策の練り直しを迫られている。(黒川信雄、田村慶子)

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