(月刊「丸」・昭和53年8月号収載。筆者は戦艦「大和」前部射撃指揮所員)
私が「大和」に乗艦したのは昭和十九年九月であった。師範徴兵として海軍入りし、佐世保軍港から戦艦「榛名」に便乗して一路南下し、台湾、香港をへてシンガポール沖に投錨していた「大和」へ着任したのである。
その「大和」をはじめてみたとき、あまりの大きさにどぎもをぬかれてしまった。フネというより、私にはまるで小山をみるような感じであった。とくに巨大さを感じたのは、菊のご紋章がついている艦首下から、横腹をみながら全体をながめたときであった。