徴用工問題、「基金設立」案が有力に 韓国政府肩代わりは「困難」

韓国の国旗(AP)
韓国の国旗(AP)

【ソウル=時吉達也】韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟問題で、解決策を協議する韓国の官民協議会が、基金を設立し賠償を肩代わりする方式を有力案として検討していることが8日、協議会参加者への取材で分かった。同時に検討されていた韓国政府による肩代わり案については、法的に困難だとの見方が大勢となった。9日の第3回会合で、基金案の詳細について集中的に議論される見通し。

複数の協議会参加者によると、「国際司法裁判所での解決」や原告代理人弁護士らが求めてきた「原告と被告企業が直接協議する」案について、日本側の理解が得られないことなどを踏まえ、協議会で追加の検討を行わない方針を決めた。

さらに、韓国政府が日本企業の賠償を肩代わりする「代位弁済」については、原告の同意の要否について法解釈が分かれていたが、先月14日の前回会合に参加した法律の専門家が「勝訴が確定した原告14人全員の同意が必要」だと説明。原告側が被告企業の謝罪や現金支給への関与を「最低限の同意条件」に掲げる中、韓国政府による肩代わりは事実上困難となった。

基金による代位弁済は、2019年に当時の韓国国会議長が発議した、日韓企業と個人を中心に資金を拠出する「文喜相(ムンヒサン)案」を中心に議論される見通し。一方、基金案は国会での特別法制定などハードルが高く、解決まで時間を要することから、協議会では政府による弁済方法をさらに模索すべきだとの意見も出ている。

協議会メンバーの朴鴻圭(パクホンギュ)高麗大教授は「協議会の議論が8月中にまとまれば、政府が検討した上で安倍晋三元首相の国葬を終えた10月ごろ、日本側に解決策を示すことになるのではないか」との見通しを示した。

訴訟をめぐっては、すでに差し押さえられた日本企業の資産の売却命令が、早ければ今夏にも最高裁で確定する。韓国政府が7月、「外交努力を続けている」として手続きの先延ばしを求める意見書を最高裁に提出する一方、意見書に反発した原告側は官民協議会への全面不参加を表明した。

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