和装文化の振興に努め、緑茶のCMでも親しまれた服飾評論家の市田ひろみ(いちだ・ひろみ)さんが1日、急性呼吸不全のため、京都市上京区の病院で死去した。90歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は弟、昌生(まさお)氏。
担当マネジャーによると、市田さんは昨年8月に転倒した際、股関節を骨折して約3カ月入院。車いすから歩く練習に努め、「元気やから車いすで100歳まで生きるね」と話していたという。
市田さんは大阪市出身で、OLから女優に転身。大映で活動した後、京都市内で美容室を営み、着物教室も主宰した。海外で着物ショーを開くなど、日本文化の発信に努めた。
平成に入ってサントリーの緑茶のCMに出演し、親しみやすいキャラクターで注目された。テレビ番組や講演、著書で着付けやマナーについて分かりやすく解説したほか、大阪証券取引所(現・大阪取引所)の社外取締役や京都市観光協会副会長も務め、京都「正論」懇話会の代表幹事としても長年尽力した。