授業動画4000本超、格差解消に挑む教育系ユーチューバー

オンライン授業について語る葉一さん
オンライン授業について語る葉一さん

「所得格差が教育格差につながる現状を変えたい」、「たとえ不登校でも学力を伸ばせる場所を作りたい」…。それが動画投稿を始めたきっかけであり、原動力だという。チャンネル登録者数179万人の教育系ユーチューバーとして活躍する葉一(はいち)さん(37)は夢を語る。

教育への熱い志を持つ。学生時代の教育実習や社会人経験を経て、「どんな子供でも平等に、教育の機会を確保するためにはどうしたらいいのか」と考えるようになった。

27歳のとき、無料で動画を配信できるユーチューブの存在を知った。「ここでなら自分のやりたいことができるかも」。翌日には「とある男が授業をしてみた」チャンネルを開始。

最初の1年は広告収入の仕組みを知らなかった。「名前が売れれば、例えば講演会や執筆活動などの派生した仕事でマネタイズ(収益化)はできるんじゃないか」と思った。妻に背中を押され、「30歳までに形になっていなかったらやめる」と決めて、その頃は貯金を崩して続けていたという。

最初の7カ月で400本前後の授業動画を投稿。「勉強が苦手な子はどこでつまずくか、皆バラバラだから」と、教科書に沿って、とにかく動画数をそろえることに注力した。現在では小学3年から高校生までの授業動画を算数・数学を中心に4千本以上、自作のプリントとともに無料公開している。

動画はライブ感を大事にするため、基本的に一発撮り。画面の向こうからでも読みやすいよう丁寧に板書を作り、子供たちのレベルに合わせて言葉を選び、問題解説をする。看護師などの資格試験のために知識を必要としている大人からの支持も厚い。

「教育系ユーチューバーがもっと増えてほしい」と願っている。「私のことを嫌いな生徒もいる。でも、他の先生と出会えたなら、その子は幸せだと思うから」

はいち 東京学芸大学を卒業後、営業職、塾講師を経て独立した教育系ユーチューバー。授業動画や、学生の悩み相談にこたえる動画を投稿している。

葉一さんらユーチューバーの制作舞台裏や、その素顔を紹介する特別展「動画クリエイター展」が、10月8日から来年4月2日まで日本科学未来館(東京・お台場)で開催される(同館、産経新聞社主催)。

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