奈良市郊外の山中。生い茂る木々の間を抜けた少し開けた場所に、山上徹也容疑者(41)は何度も足を運んでいた。
ドラム缶に向けて手製銃の試射を繰り返す。誰と会話するでもなく、弾道を見極め、火薬量の最適解を探る-。「やると決めたことは黙々とやり遂げる」。そう評した中学時代の同級生が見れば、「変わっていない」と思っただろう。
テープで束ねた2本のパイプ、バッテリー、弾丸。電流で火薬に着火させる構造で、一度に放たれた6発の銃弾のうち2発が安倍晋三元首相(67)の命を奪い、外れた弾は約90メートル先の壁にめり込んだ。
火薬が爆発しても壊れない銃身といい、反動を吸収するグリップの曲線といい、「殺傷能力を高めるポイントを確実に押さえている」と、銃器研究家の高倉総一郎氏も舌を巻く。