一家の崩壊は中学3年、14歳のときに訪れた。
奈良市で街頭演説中の安倍晋三元首相(67)を銃撃した山上徹也容疑者(41)。その半生は母との確執に貫かれている。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に傾倒した母親は平成3年の入信以降、自殺した夫の死亡保険金5千万円を教会に献金した。最後に残った1千万円にまで手をつけたのが、この時期だったという。
家族の修羅場
親族によれば、教義以外に聞く耳を持たない母親とこれを止めようとする祖父との間で、幾度も〝修羅場〟があった。
「自分の育て方が悪かった。本当にすまない」
中学生の山上容疑者と1つ年長の兄、まだ小学生の妹の前で、祖父は涙ながらに土下座した。母親は教会の聖地がある韓国に頻繁に出かけ、家を空けた。