「インターハイ3連覇」の実力が26歳で開花 女子100メートル障害の福部真子「もっと上へ」

陸上の世界選手権女子100メートル障害予選 準決勝に進出した福部真子=ユージン(共同)
陸上の世界選手権女子100メートル障害予選 準決勝に進出した福部真子=ユージン(共同)

陸上の女子100メートル障害を主戦場とする福部真子(日本建設工業)が、充実のシーズンを送っている。6月の日本選手権で初優勝を飾ると、7月の世界選手権では12秒82の日本新記録を樹立した。世界の強豪との真剣勝負も経験し、その先には日本人が未知の記録を見据えている。

女子100メートル障害準決勝を走り終え、笑顔を見せる福部真子=7月24日、オレゴン州ユージン(代表撮影)
女子100メートル障害準決勝を走り終え、笑顔を見せる福部真子=7月24日、オレゴン州ユージン(代表撮影)

記録を見た瞬間、感極まり目頭が熱くなった。世界選手権最終日の24日に行われた女子100メートル障害の準決勝。1組1レーンでスタートした福部は「1台目からいい入りだった」。海外勢に必死で食らいつき、8着でゴール。全員が12秒台を出し、世界新が出るハイレベルな戦いの中、自己記録を0秒11更新し、日本新記録を打ち立てた。

走り自体は会心ではなかったという。「『13秒台かな』と思った。手応えがあったらガッツポーズが出たと思う」。同走のアムサン(ナイジェリア)が12秒12の世界新をマークし、「途中で笑っちゃいそうになるくらい速かった。『やばい、やばい』と思って必死で追いかけた」。世界トップが集い、無我夢中で走れる舞台だったからこそ、歴史を塗り替えることができた。

広島皆実高時代はインターハイで3連覇を達成するなど、将来を嘱望されてきた。しかし、日体大に進学後、壁にぶつかった。大学3年だった2016年まで自己記録を更新できず、日本学生対校選手権では17年の2位が最高。19年に13秒13を記録して以降は自己ベストが伸び悩んできた。

ところが、今季に入って才能と結果がかみ合い始める。5月に13秒05のタイムを出すと、翌月の日本選手権は、今年4月に当時の日本記録を作った青木益未(七十七銀行)を抑えて初制覇。「ここにかける思いが強かった。もどかしい期間が長かったので、うれしい」と喜んだ。約2週間後の布勢スプリントは万全ではない中、12秒93と初めて12秒台をマーク。レース後には「次は12秒8台が狙えるかな」と話し、約1カ月後に有言実行してみせた。

会員限定記事会員サービス詳細