中国人民解放軍が4日に台湾周辺で軍事演習を開始する以前から、南西諸島周辺では中国海軍の測量艦や無人機による情報収集活動が活発化していた。防衛省は「台湾東部での作戦に備えた動きの可能性がある」と分析。自民党からは「活動が新たな段階に入った」(国防族議員)との指摘もあり、政府は警戒監視を強化している。
南西諸島周辺で中国軍の動きが活発化したのは、7月下旬ごろ。20日夜には中国海軍のシュパン級測量艦が鹿児島・屋久島南方で日本の領海に侵入し、約3時間半後に口永良部(くちのえらぶ)島西方へ出た。測量艦は4月26日にも口永良部島西方から屋久島南方へ抜ける逆ルートで航行しており、同一艦の可能性もある。
実際に測量を行ったか不明だが、屋久島周辺の海域は中国の海軍基地がある浙江(せっこう)省・寧波から太平洋へ抜ける最短ルートだ。測量艦は潜水艦の航行に欠かせない海底地形や海流などのデータを収集できる。元海上自衛隊幹部は「太平洋へ出る海峡での測量は軍事的な意義が大きい。実際に使用する可能性がある」と指摘する。