岸田首相、米国との連携を強調 党内では政府の姿勢疑問視も

朝食会を前にペロシ米下院議長(中央左)らと記念撮影する岸田首相(同右)=5日午前、首相公邸(代表撮影)
朝食会を前にペロシ米下院議長(中央左)らと記念撮影する岸田首相(同右)=5日午前、首相公邸(代表撮影)

岸田文雄首相は5日のペロシ米下院議長との会談で、台湾問題で日米が緊密に連携することや日米同盟の強化を確認した。中国人民解放軍の4日の軍事演習で発射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾し、「台湾有事は日本有事だ」(安倍晋三元首相)という現実を改めて突きつけられている。政府は、防衛力の抜本強化など有事への備えが急務になっている。

「台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米で緊密に連携していくことを確認した」

首相はペロシ氏との会談後、記者団にこう強調した。

政府はペロシ氏の訪台に際し、米国と緊密に意思疎通を図ってきた。首相はエマニュエル駐日大使と3日にも面会。2日には、訪米中の秋葉剛男国家安全保障局長がサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国をめぐる情勢などについて協議した。

政府が当初、「(ペロシ氏の訪台に)コメントする立場にない」(松野博一官房長官)としたことで、自民党などから中国への配慮を指摘する声があがった。政府関係者は「誰が台湾に行くかにかかわらず、日本周辺で問題が起きれば言うべきことは言う」と反論。ミサイル発射に抗議し、ペロシ氏との会談でも問題提起したと強調する。

ただ、5日の自民党会合では、佐藤正久外交部会長が、外務省の森健良事務次官が4日に中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使に電話で抗議したことについて、「大使を呼び出して抗議すべきだ。こういう状況で本当に国民の命を守れるのか」と、政府の姿勢に苦言を呈した。また、台湾に近接する沖縄県の与那国島で漁業関係者が漁に出られないといった影響が出たにもかかわらず、国や県の説明がないことも問題視された。

安倍氏はかねて「中国が台湾侵攻をあきらめる状況を作っていくことが大切だ」と語り、国内総生産(GDP)比2%超の防衛費の確保などを主張した。そうした声に応え、首相も防衛費の相当な増額を先進7カ国首脳会議(G7サミット)やバイデン米大統領との会談で表明している。実行に向け一刻の猶予もない。(田村龍彦、広池慶一)

会員限定記事会員サービス詳細