シネマプレビュー

「L.A.コールドケース」ほか3本

映画「L.A.コールドケース」 ©2018 Good Films Enterprises, LLC.
映画「L.A.コールドケース」 ©2018 Good Films Enterprises, LLC.

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。

「L.A.(エルエー)コールドケース」

ジョニー・デップが未解決事件の真相究明に執念を燃やす元刑事を演じる。英米合作の犯罪サスペンス。

ロックスターのような海賊のキャラクターが真っ先に思い浮かぶデップだが、「MINAMATA」など実在の人物を静かに、実直に演じた作品も少なくない。

この映画もノンフィクションが原作。主人公は、実在したロサンゼルス市警の元刑事。18年前、圧力で解決を阻まれた事件の真実を知りたい。妻子とも別れ、独りで調査を続けている。50代後半の地道な男の刑事魂を、デップが淡々と味わい深く表現する。

問題の未解決事件は、1996、97年に発生したヒップホップ界の2大スター暗殺。日本ではなじみが薄いため、劇中で披露される真相の仮説には混乱するかもしれない。

だが、フォレスト・ウィテカーが演じる架空のジャーナリストが狂言回しの役割をよく果たし、ラストでは深い余韻を残す。地味かもしれないが、真面目で手堅いサスペンスだ。

5日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。1時間52分。(健)


「ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言」

映画「ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言」 ©2021 Focus Features LLC.
映画「ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言」 ©2021 Focus Features LLC.

ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ・第三帝国に参加した武装親衛隊のエリート士官や強制収容所の警備兵など、加害者側の証言と貴重なアーカイブ映像を記録したドキュメンタリー映画。彼らはホロコーストを目撃した生存する最後の世代だ。

証言の中には「手は下していない」といった自己弁護や「虐殺を知らなかった」という言い逃れ、さらにはヒトラーを支持するといった言葉も飛び出し、驚愕(きょうがく)させられた。監督は母方の祖父母がホロコーストで殺害されたという英国のルーク・ホランド。米英合作。

5日から東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマなどで全国順次公開。1時間34分。(啓)


「プアン/友だちと呼ばせて」

映画「プアン/友だちと呼ばせて」 ©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.
映画「プアン/友だちと呼ばせて」 ©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.

驚いた。だまされた。前半は友情のロードムービーだ。余命宣告を受けた友人からの頼みで米ニューヨークからタイに帰国した主人公が、昔の恋人たちを訪ねる友人の旅に同行。感謝と謝罪の言葉を伝える友人の姿が、叙情的に描かれる。

ところが、旅を終えた友人は、主人公にとんでもない秘密の暴露を始める。啞然呆然(あぜんぼうぜん)、驚天動地だが、バズ・プーンピリヤ監督は、最後は美しく着地させてみせる。タイの新鋭。その恐るべき才能に香港の、いや、アジアの巨匠、ウォン・カーウァイ監督がほれ込み、製作総指揮で参加している。

5日から東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。2時間9分。(健)


「劇場版 ねこ物件」

映画「劇場版 ねこ物件」 ©2022「ねこ物件」製作委員会
映画「劇場版 ねこ物件」 ©2022「ねこ物件」製作委員会

ネコ好きにはたまらないか。テレビ神奈川などで放送したドラマの映画化。必ずしもドラマを知っている必要はない。

主人公で〝ねこ付き〟シェアハウスのオーナー、二星優斗=ふたぼし・ゆうと(古川雄輝)の実の弟探しが物語の軸。もっとも味わうべきは、細田佳央太(かなた)らイケメン入居者たちや不動産店の広瀬有美(長井短=ながい・みじか)らが優斗、そしてネコたちと織りなすほのぼのとした雰囲気だろう。

監督と脚本は綾部真弥。5月に公開した「劇場版 おいしい給食 卒業」同様、やわらかくて、温かくて、優しさに満ちた作風には好感が持てる。

5日から東京・新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマなどで全国順次公開。1時間34分。(健)

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