【ワシントン=渡辺浩生】中国が弾道ミサイルを発射するなど軍事的挑発を強めていることについて、米政府や専門家は中国の狙いが台湾海峡の現状を変更し、「ニューノーマル(新常態)」とすることにあると分析している。中国は台湾の封鎖能力を誇示し、軍事演習が長期化するとの予測も有力だ。日本も巻き込んだ新たな台湾海峡危機に同盟の対応が問われる。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は4日の記者会見で、中国が台湾海峡の現状変更を狙う試みをエスカレートさせていると指摘。ペロシ下院議長の訪台を口実に、「ニューステータスクオ(新たな現状)」を設定し、「新常態」化しようとしていると分析した。
カービー氏は根拠として、1995~96年の第3次台湾海峡危機と比べ、海軍の演習区域が台湾に接近していることなどを指摘。軍事行動の頻度や集中度を上げて緊張の高い状態を維持させようとしているとの見方を示した。