【北京=三塚聖平】中国で、不動産市況悪化により開発業者が資金繰り難に陥り、建設工事が中断するマンションが全土に広がっている。住宅を手に入れることができない購入者が、抗議のためにローン返済を拒否する動きが拡大。習近平指導部も対策に乗り出すが、先行きが見えず消費者や市場も警戒している。
北京市郊外のマンション建設現場を訪れると、作業員の姿は少なく重機も動いていなかった。インターネット上の情報によると、当初は2021年に引き渡し予定だったが19年から工事が停止。今年3月に再開したというが、進捗(しんちょく)ははかばかしくないとみられる。
こうした物件は中国語で「爛尾楼(ランウェイロウ)」と呼ばれる。建設業者の資金不足などで建設工事が中断、遅滞した未完成物件のことで、中国全土に存在している。習指導部が不動産バブル対策を20年夏頃から本格化させ、市況悪化で中国恒大集団など不動産大手の経営危機が深刻化したことが背景にある。