中国の電気自動車(EV)メーカー大手「比亜迪(BYD)」の日本法人が、7月21日に電気自動車(EV)3車種を令和5年から順次発売すると発表した。同時に100カ所に及ぶ販売代理店網を構築するとしている。世界の自動車市場で、品質、サービスで最も厳しいといわれる日本市場に後発で参入するに際し、どう勝機を見いだしているのだろうか。
日本法人「ビーワイディージャパン」の劉学亮社長は、日本進出にあたって時間をかけて研究したとのこと。日系メーカーや海外メーカーのEVのみならず、米ゼネラル・モーターズや韓国現代自動車などが日本から撤退した理由は調査済みであろう。しかし、そこは中国企業である。初めての日本進出であり、発表では言い表されていない中国ならではの戦略もあるのではないだろうか。深圳にあるBYD本社を訪問した経験からは、BYDはスピードと革新を極めて重んじる企業のように思われる。これと定めた方向に「ヒト・モノ・カネ」を一気につぎ込んで市場シェアを奪う。
そこで思い出すのが『孫子の兵法』である。その中に「勝兵は先(ま)ず勝ちて、而(しか)る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて、而る後に勝ちを求む」というのがある。あらかじめ勝利する態勢を整えてから戦う者が勝利を収め、戦いを始めてから勝機をつかもうとする者は負けるという意味である。もし、これに準ずるのであれば、BYDは既に準備万端で態勢を整えていることになる。