立憲民主党は5日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治との関係をめぐる「国対ヒアリング」を国会内で開催した。共産党やれいわ新選組の議員も出席し、泉健太代表のもとでは控えてきた「野党合同ヒアリング」復活の様相を呈した。官僚に厳しく詰め寄るヒアリングは「野党は批判ばかり」とのイメージを植え付けるもろ刃の剣だが、立民は旧統一教会問題を格好の追及材料とみており、久々の「立共共闘」となった。
この日のヒアリングでは平成27年、旧統一教会が現在の団体名への名称変更を文化庁から認められた経緯について、元文部科学次官の前川喜平氏から意見を聴取した。
前川氏は「何らかの政治的な力が働いたとしか考えられない」との見解を披露し、当時の文科相だった自民党の下村博文前政調会長が関与した可能性を強調。下村氏は否定しているが、出席議員からは次々と前川氏への質問が飛び出し、立ち見が出る盛況ぶりだった。
泉体制の立民が忌避してきた合同ヒアリングの実施にかじを切ったのは、旧統一教会問題への世論の関心が高く、自民にダメージを与えられると期待できるからだけではない。
参院選敗北を受け、立民内では泉氏の「提案型路線」について「有権者に何をしたいのか分からないとの印象を与えた」との批判が強まっている。合同ヒアリングの実施は枝野幸男前体制が志向した「対決型」への回帰ともいえる。
一方、立民の方針転換を歓迎しているのが、泉体制下で距離を置かれてきた共産だ。共産は旧統一教会と敵対関係にあり、いち早く追及チームを立ち上げていた。幹部は「野党共闘の再構築に一石を投じる動きだ」と笑みを浮かべた。(大橋拓史)