ケンミン食品が「インフレ手当」最大5万円 社員の暮らし守る動き広がる  

即席の「焼ビーフン」をはじめとするケンミン食品の製品群(同社提供)
即席の「焼ビーフン」をはじめとするケンミン食品の製品群(同社提供)

ロシアによるウクライナ侵攻や円安によりインフレ(物価上昇)が進む中、社員の暮らしを守るため「インフレ手当」を導入する動きが企業の間で広がっている。日々の生活に対する従業員の不安を取り除き、仕事へのモチベーションを高める狙いがある。

あらゆる商品の値段が上昇

「ビーフン(米麺)」でおなじみのケンミン食品(神戸市中央区)は、7月8日の賞与支給にあわせて、今年1月までに入社した正社員と契約社員190人に「インフレ手当」を支給した。支給額は、在籍日数1年以上の正社員と契約社員170人には一律5万円、それ以外の20人には在籍日数に応じて1万~3万円。

同社は新型コロナ流行下での堅調な中食需要に支えられ、3~5月期決算は売上高が前年同期比約3%増と増収を確保した。

スーパーで冷凍食品を見る買い物客=7月1日、神奈川県茅ケ崎市のイオン茅ケ崎中央店
スーパーで冷凍食品を見る買い物客=7月1日、神奈川県茅ケ崎市のイオン茅ケ崎中央店

そんななか、高村祐輝社長がスーパーマーケットを訪れた時にあらゆる商品の値段が上がっているのを目の当たりにし、「物価上昇で先行きに不安を抱える従業員の頑張りに報いたい」(担当者)との考えから、インフレ手当の支給を決めた。

ただ、原材料費の高騰に加え、手当支給に伴う人件費増により、今後は利益が圧迫される懸念がある。それでも、物価上昇の推移を見ながら、追加の支給も検討する考えだ。

ノジマは「物価上昇応援手当」

インフレ手当をめぐっては、ソフトウエア開発のサイボウズが8月までに、国内外の正社員と契約社員を対象に特別一時金を支給する。支給額は勤務時間によって6万~15万円。日曜大工関連用品の開発販売を手がける大都(大阪市生野区)も、「インフレ特別手当」として、全社員29人に一律10万円を7月29日に支給した。

一時金としてではではなく、継続的な支給で年収全体の底上げを図る企業も。家電量販店のノジマは、正社員と契約社員の計約3000人を対象に、7月支給分の給与から毎月1万円の「物価上昇応援手当」を支給する。

クラウド基盤を使った安否確認サービスを手がけるトヨクモも、来年度に、業績変動の影響を受けない固定賞与を1カ月分引き上げる方針を決めた。

インフレ手当には、従業員の離職を防ぐ効果も期待されている。ドル高円安の基調は今年2月下旬以降鮮明になっているが、それ以前から国内の多くの業種は深刻な人手不足に陥っていた。優秀な人材を採用したり、つなぎとめたりするためには、初任給や手当の引き上げなど待遇改善が不可欠となっており、インフレ手当を支給する動きは今後も広がりそうだ。(松村信仁)



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