主張

米下院議長の訪台 「民主主義」の連帯示した

ペロシ米下院議長(民主党)が中国の恫喝(どうかつ)に屈せず、台湾を訪問したことを高く評価したい。

ペロシ氏は到着後、すかさず「台湾の活力ある民主主義に対する米国の揺るぎない関与を履行するものだ」との声明を発表した。蔡英文総統との会談でも「米国は台湾と団結する」と語った。

いずれも、台湾の併吞(へいどん)をもくろむ中国に対して、これを決して許さないという米国の立場を明確に示す重要なメッセージである。

同時にペロシ氏の訪台は、米国の出方をうかがう中国への抑止力を強めることにつながる。その実効性をさらに高めるためにも、日本を含む民主主義国は米国と歩調を合わせるべきである。

大統領職の継承順位2位である下院議長の訪台は25年ぶりだ。ペロシ氏が声明で指摘したように、「世界が専制主義と民主主義の選択に迫られる」なか、台湾はその最前線として国際社会の注目を集めている。

中国外務省は「重大な政治的挑発で中国は絶対に認めない」と抗議した。王毅国務委員兼外相は声明で、「米国は台湾海峡の平和と地域の安定の『最大の破壊者』になっている」と非難した。

軍事的な威圧も強めている。中国軍は4~7日に台湾を囲む6つの空・海域で軍事演習を行うと予告した。

ペロシ氏の訪台に反発する中国の挑発が、偶発的な米中の衝突につながらないよう警戒すべきは当然としても、それによって中国に対する毅然(きぜん)とした姿勢が揺らぐようなことがあってはならない。

ペロシ氏の訪台をめぐっては米政府にも当初、慎重な意見があった。この秋に5年に1度の中国共産党の党大会を控える中国にとって政治的に敏感な時期に、訪台で台湾海峡の軍事的緊張が強まることへの懸念があったからだ。

だが、ペロシ氏が訪台を断念すれば、米国は圧力に弱い国として中国に付け入られる隙を与えかねず、自由主義の盟主としての国際社会の信頼も失うことになった。そうした事態を回避し、民主主義の連帯を示した意味は大きい。

松野博一官房長官はペロシ氏訪台に「日本政府としてコメントする立場にない」と述べたが、日本は同盟国だ。台湾有事が安全保障に直結するという認識が足りない。ペロシ氏にならい、衆院議長らの訪台を検討してはどうか。

会員限定記事会員サービス詳細