「ほやドル」になったシンガー・ソングライター ホヤのおいしさを全国に

ホヤを手に「日本のソウルフードにするのが夢」と語る萌江さん=宮城県石巻市(石崎慶一撮影)
ホヤを手に「日本のソウルフードにするのが夢」と語る萌江さん=宮城県石巻市(石崎慶一撮影)

宮城県石巻市 ほやドル 萌江さん(28)

突起と丸みのある形状から「海のパイナップル」とも呼ばれる「ホヤ」。宮城県を代表する海の幸、ホヤのおいしさを全国に発信するアイドル「ほやドル」を名乗り、自作の歌でホヤをPRしている。

ホヤの大きな2つの突起に似せた髪形に「ホヤ」の文字入りTシャツとホヤの色であるオレンジ色のスカートを身に着けたスタイル。「ホヤはお父さんが酒のつまみで食べるイメージでしたが、もっとかわいくてポップなイメージに変えたいと、この姿にしました」と笑顔を浮かべる。

同県石巻市出身。同市の県内有数のホヤの産地に母方の祖父の家があったが、東日本大震災の津波で家は流され、祖父が犠牲になった。祖父は地元のホヤ養殖を手伝っており「子供の頃から、夏に祖父の家に行くと、いつも新鮮なホヤを食べさせてくれました」と思い入れがある。

男性デュオのコブクロに憧れて中学1年からギターを始め、大学2年のときの失恋を機にシンガー・ソングライターを志した。大学卒業後はアルバイトをしながら音楽活動を行い、平成29年にホヤをテーマにした「ほやのマーチ」をリリース。ほやドルを自称し、イベントなどで歌っていた。

その年の夏、仙台市のFMラジオ局「エフエム仙台」が、ほやのマーチを流したところ、テーマの意外性と明るい曲調が反響を呼んだ。翌年から同局の番組レギュラーとなり、ほやドルとしての知名度が一気に高まった。現在は地元のFMラジオやテレビにDJやリポーターなどとして出演し、CMにも起用される人気ぶりだ。

ほやのマーチを作ったのは、県産ホヤが苦境にあることを知り「歌で元気にしたい」という思いからだった。

県内のホヤ生産量は日本一を誇ったが、震災の津波で養殖施設が全滅。生産者は養殖を再開したが、東京電力福島第1原発事故の影響で、県内産ホヤの約7割の輸出先である韓国が禁輸措置を実施。販路が断たれ、28、29年は大量の廃棄処分となった。さらに新型コロナウイルスの影響でホヤの消費が落ち込む中、消費拡大につなげようと、2年前にCDアルバム「美味(おい)しいホヤの食べ方」を発売した。

現在は同市に住み、県内を中心に活動している。ホヤ独特の「磯臭さ」が苦手な人もいるが「『萌江ちゃんのおかげでホヤを食べられるようになった』という声を聞くのが一番うれしい。ホヤは『臭い』というイメージを変え、多くの人をホヤのとりこにしたい」と話す。

ほやのマーチは英語と仏語バージョンもある。「他の外国語バージョンも作り、世界にホヤを発信していきたい。ホヤを日本のソウルフードにするのが夢です」と目を輝かせる。(石崎慶一)

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