石炭火力発電で生じる二酸化炭素(CO2)のほとんどを回収し、大気中への排出を抑える技術の実証試験が、広島県大崎上島町で大詰めを迎えている。石炭は、石油や天然ガスという他の化石燃料と比べて安価で、埋蔵量も多く安定供給が可能。一方でCO2排出量の多さから、世界的な「気候変動対策」「脱炭素」の流れの中で悪玉視され、石炭火力の維持を掲げる日本のエネルギー政策も欧米の環境団体などから批判されてきた。そんな石炭火力の評価を一変させる可能性をもった最先端技術の実用化に期待がかかる。
回収率「90%以上」クリア
実証試験を進めているのは、電源開発(J―POWER)と中国電力が共同出資して平成21年に設立した「大崎クールジェン」社。広島県竹原市からフェリーで約30分の瀬戸内の離島、大崎上島に実証試験発電所を構えている。