ペロシ米下院議長、韓国到着 板門店訪問へ

台湾訪問を終え呉釗燮外交部長(外相に相当)の見送りを受けるペロシ米下院議長=3日、台北・松山空港(台湾外交部提供・AP)
台湾訪問を終え呉釗燮外交部長(外相に相当)の見送りを受けるペロシ米下院議長=3日、台北・松山空港(台湾外交部提供・AP)

台湾訪問を終えた米国のペロシ下院議長は3日夜、専用機で韓国に到着した。4日に韓国国会の金振杓(キム・ジンピョ)議長や与野党の幹部らと会談する。聯合ニュースは、南北軍事境界線がある板門店も訪れ、将兵らを激励すると伝えた。同日夜に来日し、5日に岸田文雄首相と会談する方向で調整している。一方、中国はペロシ氏の台湾訪問に猛反発、台湾周辺での演習など軍事面を含む威嚇行動を始めた。

3日午前、台北市内の総統府を訪れ蔡英文総統と会談したペロシ氏は、「台湾と世界の民主主義を守るための米国の決意は揺らがない」と強調。蔡氏は中国による軍事的圧力が高まっていることを念頭に、「軍事威嚇に対して台湾は退くことなく、民主主義の防衛線を固く守り抜く」と応じた。

会談では安全保障に加え、米台貿易や経済協力などについても協議。蔡氏はペロシ氏の民主主義や米台関係への貢献をたたえ、台湾当局が外国人などに贈る勲章で最高位にあたる「特種大綬卿雲勲章」を授与した。

ペロシ氏は同日、台湾の立法院(国会に相当)も訪れ、立法委員(国会議員)らに「米国の議会は党派を超えて台湾を支持している」と述べた。また、新北市にある景美人権文化園区(人権博物館)を訪問し、台湾亡命中の中国の反体制活動家や香港の民主化活動家、台湾の人権問題関係者らとも面会した。

一方、中国の王毅(おうき)国務委員兼外相は談話を発表し、ペロシ氏の訪台について「中国の主権を悪意を持って侵犯し、政治的な挑発を公然と行い中国人民の強烈な憤慨を引き起こした」と反発。「米国はすでに、台湾海峡の平和と地域安定の『最大の破壊者』になっている」と非難した。中国外務省は3日、謝鋒(しゃほう)外務次官が米国のバーンズ駐中国大使を2日深夜に呼び出し「強烈な抗議」を行ったと発表した。

中国は3日、オレンジなどのかんきつ類や、タチウオとマアジの台湾からの輸入を一時停止。天然砂の台湾向け輸出も一時的に停止した。「台湾独立」を支援しているとして複数の台湾企業を挙げ、中国企業などとの取引を禁じた。

中国国営中央テレビによると、中国東部、浙江省温州市の国家安全局は3日、国家の安全に危害を及ぼした疑いで台湾中部の台中市出身の男性活動家(32)を拘束した。長期にわたり「台湾独立」の分裂活動に従事していたとしている。ペロシ氏の訪台を受けた、中国側による対抗措置の一環の可能性がある。

(台北 矢板明夫、北京 三塚聖平、ソウル 桜井紀雄)

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