海底のレクイエム

パラオの零式三座水偵

零式三座水偵は愛知航空機が開発、1940(昭和15)年に採用された3人乗りの水上偵察機で、戦艦や巡洋艦に搭載された。長距離の索敵や敵艦隊への夜間長時間接触を目的に開発された機体で、使いやすい汎用機として索敵や哨戒という本来の任務以外にも救難や人員輸送、魚雷艇攻撃など多様な活躍を見せている

斜め前から見た零式三座水偵。エンジンが脱落して「お辞儀」をした状態になっているが、機体前半は比較的よく原形を止めている。完全な形で現存する機体は知られておらず、海底に残るこの機体も貴重な存在ではある(戸村裕行撮影、2015年3月)
斜め前から見た零式三座水偵。エンジンが脱落して「お辞儀」をした状態になっているが、機体前半は比較的よく原形を止めている。完全な形で現存する機体は知られておらず、海底に残るこの機体も貴重な存在ではある(戸村裕行撮影、2015年3月)

パラオのコロール島に眠るこの航空機の名は、愛知航空機製E13A零式水上偵察機(零式三座水上偵察機)。連合軍がこの偵察機のコードネームを〝JAKE〟と呼んでいたことから、現地では「JAKE SEAPLANE」と呼ばれている。

水深約15メートル付近に眠る機体は、座席より後ろ部分がポッキリと折れてしまってはいるものの、このパラオの水中で見られる当時の航空機の中ではもっとも保存状態の良いものと言えるだろう。

現地の方の話では、撃墜などではなくエンジントラブルを起こし、墜落したとのこと。フロートを支えに美しく鎮座しているその姿に魅せられ、夢中でシャッターを切った。

真上から見た零式三座水偵。薄暗い水中にジュラルミンの地肌を朧に光らせる姿は幻想的でさえある(戸村裕行撮影、2015年3月)
真上から見た零式三座水偵。薄暗い水中にジュラルミンの地肌を朧に光らせる姿は幻想的でさえある(戸村裕行撮影、2015年3月)
操縦席付近を斜め横から見る。可動風防は後方にスライドした状態にあることがわかる(戸村裕行撮影、2015年3月)
操縦席付近を斜め横から見る。可動風防は後方にスライドした状態にあることがわかる(戸村裕行撮影、2015年3月)
ほぼ真横から見る零式三座水偵。光量の多い水中で、鈍く光るジュラルミンの胴体が印象的である(戸村裕行撮影、2015年3月)
ほぼ真横から見る零式三座水偵。光量の多い水中で、鈍く光るジュラルミンの胴体が印象的である(戸村裕行撮影、2015年3月)
主翼のアップ主翼下面のフロート支柱に前方に突き出した棒が見えるが、これは乗員が搭乗するための足かけである(戸村裕行撮影、2015年3月)
主翼のアップ主翼下面のフロート支柱に前方に突き出した棒が見えるが、これは乗員が搭乗するための足かけである(戸村裕行撮影、2015年3月)

(取材協力 ダイビングサービス「トレジャーズ」)

水中写真家・戸村裕行

1982年、埼玉県生まれ。海底に眠る過去の大戦に起因する艦船や航空機などの撮影をライフワークとし、ミリタリー総合誌月刊『丸』にて連載を担当。それらを題材にした写真展「群青の追憶」を靖國神社遊就館を筆頭に日本各地で開催。主な著書に『蒼海の碑銘』。講演、執筆多数。

雑誌「丸」
昭和23年創刊、平成30年に70周年迎えた日本の代表的軍事雑誌。旧陸海軍の軍 艦、軍用機から各国の最新軍事情報、自衛隊、各種兵器のメカニズムなど幅広 い話題を扱う。発行元の潮書房光人新社は29年から産経新聞グループとなった 。毎月25日発売。

●月刊「丸」のホームページ


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