全国の球児たちが熱戦を繰り広げる「全国選抜少年野球下関大会」(産経新聞など特別協賛)が5~7日、山口県下関市のオーヴィジョンスタジアム下関球場などで3年ぶりに開催される。過去の大会で始球式を務めるなど、参院選の最中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相にもゆかりのある大会で、関係者は「空の上から子供たちの元気なプレーを見守ってくれたら…」と願っている。
大会は、下関少年野球協会などでつくる実行委員会が主催。平成9年に始まり、今年で第24回を数える。過去の大会には、プロ野球史上初となる5打席連続本塁打を放ったヤクルトの村上宗隆選手が熊本のチームで出場している。今年は地元、山口をはじめ東は埼玉、南は沖縄まで全国から16チームが参加する。
第1回から毎年開催してきたが、令和2、3年は新型コロナウイルスの感染拡大のため中止を余儀なくされた。コロナ禍でも何とか開催にこぎつけた今年の大会。関係者の間では、どうしても球場に駆けつけてもらいたい人がいた。地元選出の安倍元首相だ。
安倍氏は平成19年に第1次政権を退いた後、下関少年野球協会の名誉会長を引き受けた。24年に首相に返り咲くまでは毎年、同大会の開会式にも出席し、始球式のマウンドに立っていた。
25年以降は安倍氏の妻、昭恵氏が代わりに出席していたが、安倍氏も「勝敗ももちろん大切ですが、多くの仲間と出会い、一生の思い出を作ることも大切です」などとメッセージを送り、子供たちに温かなまなざしを注いでいた。
今年は2度目の首相退任後、初めての大会で、関係者は久しぶりに安倍氏を招き、球児たちのプレーを見てもらいたいと思っていた。
「コロナ禍でも元気な子供たちの姿を見てもらいたかった。さみしい限りだが、きっと見守ってくれている」。始球式前の肩慣らしで安倍氏のキャッチボール相手をしたことがある同協会の井上隆副理事長はそう語り、大会の成功を誓った。(小沢慶太)