ローカル線存廃へ国関与 JR西社長「歓迎」 課題も

会見するJR西日本の長谷川一明社長=3日、大阪市内(黒川信雄撮影)
会見するJR西日本の長谷川一明社長=3日、大阪市内(黒川信雄撮影)

JR西日本の長谷川一明社長は3日、大阪市内で会見し、国土交通省の有識者会議が7月25日に、経営が厳しい地方路線の存廃に関する提言をまとめたことを「大変にありがたい」と歓迎した。提言は、地元自治体や事業者で構成する協議会を国主導で設置し、代替交通の導入の可否などを検討する内容。JR西もすでに地方組織の再編などに着手している。ただ、再構築が交通弱者の切り捨てにならないか、地方の意向をくみ取れるかなど課題は多い。

長谷川氏は提言を「国の政策課題として正面から取り上げてくれた」と評価。「自治体側も、国がルールを作った方が議論に参加しやすい」と述べ、国の関与の重要性を強調した。地方路線の維持に向け、国からの財政支援が行われる可能性にも言及した。

JR西はほかのJR各社と同じく、都市部のドル箱路線の収益で、地方の赤字路線を維持する経営構造が続いていた。

ただ、新型コロナウイルス禍で都市部でも収益が激減し、経営状況が急激に悪化。沿線人口の一層の減少が見込まれるなか、地方路線の改革が急務になっている。JR西はすでに地方組織の再編に手をつけており、今月1日、近畿、中国地方の組織を再編し、約360人を削減する経営合理化策を発表した。

ただ、改革にあたっては課題は少なくない。鉄道業界に詳しい岩井コスモ証券の饗場(あいば)大介シニアアナリストは「高齢者など交通弱者の移動手段を確保することが課題。(鉄道の代替交通手段として)自宅の近くまで来てくれるオンデマンドバスの導入などを(鉄道事業者の)赤字にならない形で実現させる必要がある」と指摘する。

また、鉄道の代替交通となりうるバス、バス高速輸送システム(BRT)の運行コストを削減できる自動運転技術の開発や、導入に向けた法整備も遅れているという。

饗場氏は「運輸手段の維持を〝地域の課題〟としてとらえ、住民とともに自治体、事業者が丁寧に議論する取り組みが必要」とも強調。提言は協議開始後、最長3年以内に対策を決定すべきとしているが、限られた時間で十分な議論を進めることは、決して容易ではない。(黒川信雄)

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