ビブリオエッセー

やさしい心が花になる 「花さき山」斎藤隆介・作 滝平二郎・絵(岩崎書店)

定評のある良い絵本だとお聞きしましたが自分の感性でその魅力をつかみきれたかどうか。

私も参加する「地涌(じゆ)」という邦楽合奏団の、今年の公演は邦楽家、宮田耕八朗さん作曲の「つるのおんがえし」でした。舞台では児童文学作家、松谷みよ子さんと画家、いわさきちひろさんによる絵本『つるのおんがえし』をテキストに、お借りした絵を映し、私が朗読しました。画像と邦楽のコラボは初の試みでした。

みんなと話す中で次回の公演に選ばれたのが民話風のこの絵本『花さき山』です。さっそく初めての練習が先日、行われました。

お話は10歳の少女あやが山に迷い込み、一面の花を目にする場面から始まります。そこへ現れた山ンばが咲いている理由を語るのです。

この花はふもとの村の人間が「やさしいことを ひとつすると ひとつ さく」。あやの足元に咲いている赤い花を指して「おまえが きのう さかせた 花だ」と語ります。

あやは祭り着を欲しがる妹そよのため「おらは いらねえから、そよサ かってやれ」と母に言って辛抱しました。貧しい家のことを考えたあやが、赤い花を咲かせたのです。

もうひとつは露を乗せた青い花。それは双子の赤ん坊の兄が咲かせたものでした。弟のためじっと辛抱したのです。涙の露でした。

「そのやさしさと、けなげさが」花になる。物語は花さき山のなりたちへと続きます。みんなのために命をかけた男たちの話でした。

さて初練習ですが私の語りは我ながら単調でした。たぶん70歳の私の心に絵本の世界観が届いていないのでしょう。幼いとき読み聞かせてもらい、大人になって読み返すと深い感動があるといいます。今から私は理解しようと心に決めました。何度も朗読し、宝物になるまで。

堺市北区 住川章雄(70)

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