【台北=矢板明夫】アジア歴訪中のペロシ米下院議長(民主党)が2日夜、台湾を訪問した。米国の正副大統領に次ぐ要職の下院議長として1997年のギングリッチ氏(共和党)以来、25年ぶりの台湾訪問となる。今後の米中台関係に大きな影響を及ぼすことは必至だ。
台湾の国際問題評論家、宋承恩氏は「今の国際情勢は1997年当時と全く違っており、ペロシ氏の訪台は25年前に比べ、国際社会へのインパクトがはるかに大きく、両岸(中台)の軍事的対立を先鋭化させる可能性もある」と指摘した。
宋氏によると、25年前のギングリッチ氏の場合は、訪台前に中国を訪れており、江沢民国家主席(当時)ら中国側の要人と会談している。その前年の96年に台湾で初の総統直接選挙が行われ、中国は選挙を妨害するために大規模なミサイル演習を行い、いわゆる第3次台湾海峡危機が起きていた。97年のギングリッチ氏の中国・台湾歴訪は、台湾海峡両岸の緊張緩和を促す側面があり、中国は表面では抗議したものの、事実上容認していた。