55年間にわたり第一線で活躍してきた落語家の桂文枝が7月16日に79歳となり、桂派の大名跡「文枝」の六代目を襲名してから10年の節目を迎えた。20代の頃から人気タレントとしてスター街道をひた走り、落語界のトップランナーでもあり続ける文枝だが、今年3月、長年続けたテレビの仕事を整理した。残ったのは落語という一本道。80歳を目前に改めて落語と向き合おうとしている文枝の言葉に、耳を傾ける。
一気にスターへ
「本当に順風満帆で。こんなに幸せでええのんかなと思っていました」。自分の人生を語るとき、そんなふうにいえる人はきっと多くない。だが、文枝のこれまでの歩みは、それほど華やかなものであった。
関西大学在学中の昭和41年に三代目桂小文枝(後の五代目文枝)に入門し、三枝と名乗った。わずか10カ月後に、公開収録型の毎日放送のラジオ番組「歌え!MBSヤングタウン」への出演が決定する。