埼玉県戸田市と公平病院(同市)は、病院を受診していない独居高齢者らを対象に、オンライン診療車を活用した診療活動の実証実験を始めた。看護師が高齢者らの自宅に診療車で出向き、医師はオンラインで診察を行う。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で通院を控えたり、体力が低下したりしている人に必要な医療を提供することを目指す。
実証実験は市西部にある美笹地区で始めた。高齢者の総合的な相談窓口である市の「地域包括支援センター」が、必要な治療を受けることができていないと判断した高齢者の情報を公平病院に提供し、本人が診察を希望する場合に診療車が向かう。
診療後、センターなどを通じて、認知症の患者や家族らが集う「認知症カフェ」やラジオ体操などの介護予防活動の紹介も行う。
市は実証実験を通じ、市民の健康寿命を延ばすことを目指すとともに、医療負担の軽減を図る。市の担当者は「独居で家族の協力が得られなかったり、動けなくなったりしている高齢者がいる。誰も取り残されない医療・福祉体制を作り上げたい」と話している。