6月から7月にかけて行われた将棋のタイトル戦「第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)は、藤井聡太棋聖(20)=竜王・王位・叡王・王将=が3勝1敗で永瀬拓矢王座(29)を破り、3連覇を達成して幕を閉じた。第1局では千日手(同一局面が4回現れ膠着(こうちゃく)状態になること)が2度成立するなど波乱の幕開けとなった今シリーズ。現場で取材した記者3人が熱戦の舞台裏を振り返る。
--第1局は6月3日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで行われたが、いきなり千日手が成立した
記者A「永瀬王座は2度の千日手について、はっきりとは言わないが、作戦だったと思う。藤井棋聖は相手の作戦を受け止める棋風ではあるが、第1局は永瀬王座が圧倒していて見事だった」