世界的なエネルギー価格の高騰に伴い、電気料金はこの1年で大きく値上がりし、家計や企業の経営を圧迫している。脱炭素政策やウクライナ侵攻の影響などが絡んでいるが、そもそも日本では、料金以前にこの冬の電力不足が強く懸念されている状況だ。なぜ先進国・日本が、電力を巡ってこのような事態に直面しているのか。打開には何が必要か。電力・エネルギー政策に詳しい、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査課長、原田大輔氏、産業遺産情報センター長の加藤康子氏、国民民主党代表、玉木雄一郎氏に聞いた。このうち、原田氏の話は次の通り。
論点直言 電力逼迫と国力
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電気料金の高騰につながる原油と天然ガスの価格上昇の背景には別々の要因がある。
原油は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が2020年4月から実施した大規模な協調減産で需給が引き締まり、その後の新型コロナウイルス禍からの需要回復もあって価格が上昇基調だった。そこにロシアのウクライナ侵攻に伴う露産石油の禁輸など対露制裁の影響が加わった。