7月8日、参院選の最中、遊説中の安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。その時、思ったのが1909年10月、満洲のハルビン駅で凶弾に仆(たお)れた伊藤博文である。元韓国統監の伊藤が暗殺されたのは、日露戦争に勝利した日本が大韓帝国を保護国とし、統監府を設置して、大韓帝国の行政改革と財政再建に取り組んでいたときであった。
安倍氏の横死もまた、ロシアによるウクライナ侵攻と尖閣諸島周辺海域での中国による挑発行動が続く中、国事多難の時であった。そのため安倍氏の死は、多くの日本国民に大きな喪失感を与えた。日本国民も、日本が厳しい国際環境の下に置かれていることを知っているからだ。