世界的なエネルギー価格の高騰に伴い、電気料金はこの1年で大きく値上がりし、家計や企業の経営を圧迫している。脱炭素政策やウクライナ侵攻の影響などが絡んでいるが、そもそも日本では、料金以前にこの冬の電力不足が強く懸念されている状況だ。なぜ先進国・日本が、電力を巡ってこのような事態に直面しているのか。打開には何が必要か。電力・エネルギー政策に詳しい、国民民主党代表の玉木雄一郎氏、産業遺産情報センター長、加藤康子氏、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査課長、原田大輔氏に聞いた。このうち、玉木氏の話は次の通り。
論点直言 電力逼迫と国力
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岸田文雄首相は冬の電力逼迫(ひっぱく)を防ぐために、最大9基の原子力発電所を稼働させると表明した。このこと自体は評価するが、首相の英断で新たに動き始める原発があるわけではない。もともと、電力各社が稼働を予定していた原発を足すと、9基になるというだけの話だ。
さらに、9基はすべて西日本で、東京、東北電力管内の需給逼迫は解消していない。首相発言で電力問題が解消したかのように誤解されているとしたら、それは危険で、電力需給は依然として厳しい。必要なのは国民と危機感を共有することだ。