世界的なエネルギー価格の高騰に伴い、電気料金はこの1年で大きく値上がりし、家計や企業の経営を圧迫している。脱炭素政策やウクライナ侵攻の影響などが絡んでいるが、そもそも日本では、料金以前にこの冬の電力不足が強く懸念されている状況だ。なぜ先進国・日本が、電力を巡ってこのような事態に直面しているのか。打開には何が必要か。電力・エネルギー政策に詳しい、産業遺産情報センター長の加藤康子氏、国民民主党代表、玉木雄一郎氏、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査課長、原田大輔氏に聞いた。このうち、加藤氏の話は次の通り。
論点直言 電力逼迫と国力
◇
電力逼迫(ひっぱく)問題について、まず確認しておきたいのは、電力無くして国家の成長はなく、国民の豊かな暮らしもないということだ。そして、足元の逼迫はピークではなく、需給状況は今後ますます厳しさを増すだろう。短期的には火力を中心に、中長期的には原子力で、既設の電源が次々に退出していくからだ。
世界的に極めて高い電気料金は今後ますます高騰するだろう。経済安全保障の観点や円安などから、日本の基幹産業である製造業で国内回帰を検討する企業も出てきている。だが、高い産業用電気料金は、国際競争の上で大きなハンディとなる。