【ワシントン=岡田美月】訪米中の林芳正外相は29日(日本時間30日午前)、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で英語で講演した。中国の核戦力に関して、「急速かつ不透明な形で核戦力を増強しつつある中国に対し、核リスクを低減し、透明性を高め、核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するよう強く促したい」と述べた。
林氏は、米ニューヨークの国連本部で8月1日に始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に岸田文雄首相が出席することについて、「日本の真剣な姿勢やコミットメントを示す予定だ」と強調。「日本は唯一の戦争被爆国として、立場の異なる国々の間の橋渡しに努め、同会議の成功に向け貢献する」と述べた。
一方、米国が核兵器で日本を守る拡大抑止をめぐっては「米国の信頼性をさらに強化していく必要がある」と言及。中国や北朝鮮の核問題については、「この地域の戦略バランスに照らせば、米国の拡大抑止の信頼性と強靱(きょうじん)性を一層向上させる日米の努力が求められている」と述べた。
また、ウクライナに侵攻するロシアによる「核の恫喝(どうかつ)」に対し、「いかなる意味でも容認できない」と非難。「ロシアによる暴挙で、われわれは国際社会の安定を確保していく上で、拡大抑止の重要性を再認識した」と語った。