米中首脳会談へ最終調整 中国、有利な「休戦」狙う

中国外務省の趙立堅副報道局長=27日、北京(共同)
中国外務省の趙立堅副報道局長=27日、北京(共同)

【北京=三塚聖平】米中両政府は、中国の習近平国家主席とバイデン米大統領との電話またはオンライン形式による会談に向け最終調整を進めているもようだ。中国側は、自国に有利な形で米国との対立を「休戦」に持ち込むため、米側への要求などをまとめたリストを突き付けている。

中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は28日の記者会見で、首脳会談について「両首脳は各種の形で意思疎通を保っている。適時、関連情報を発表する」と述べるにとどめた。米ブルームバーグ通信は26日、両首脳が28日に対話すると報じている。

中国の王毅(おうき)国務委員兼外相は今月9日、ブリンケン米国務長官とインドネシアで会談した際に「4つのリスト」を米側に渡した。全容は明らかにしていないが、▽米側に是正を求める誤った対中政策と言動▽懸念する重要案件▽重点的に懸念する米国の中国関連法案▽8つの協力分野-からなるという。中国が望む形で米側から譲歩や協力を引き出す狙いとみられる。

一方、首脳会談に影を落としそうなのが、ペロシ米下院議長が台湾を訪問するとの観測だ。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は28日までに、米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンを主軸とする空母打撃群がシンガポールを出て南シナ海に入ったと報じた。このまま方向を変えなければ、台湾海峡に向かう可能性があるとしている。

同紙は米空母の動きとペロシ氏の訪台観測が関連していると指摘。趙報道官は28日の会見で「米側がまた空母を出して力を見せつけている」と非難した。同紙はまた、衛星画像の情報として、台湾海峡に面する福建省の空軍基地などで中国軍が態勢を強化していると伝えた。中国が米空母の動きをにらんで米側を牽制(けんせい)している可能性がある。

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