【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は28日、訪韓したインドネシアのジョコ大統領とソウルで会談し、協力関係を強化していく方針で一致した。尹氏は、経済面での過度な中国依存を脱却するため、外交の多角化を目指しており、今回の会談を皮切りに東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟各国との外交を活発化させたい考えだ。
尹氏は会談の冒頭、昨年の中国による輸出規制でディーゼル車に必要な尿素水の供給が滞った際、インドネシアが「尿素の供給難の解決で積極的に協力してくれた」と謝意を表明した。この問題は、韓国が輸出入で中国に過度に依存する危険性を端的に示した。
韓国はインドネシアの首都移転計画に伴うインフラ建設への参入を目指している。同国は韓国の戦闘機の共同開発国ともなっている。ただ、インドネシアが分担金を滞納する問題も生じており、課題も多い。
一方、ジョコ氏は20カ国・地域(G20)議長国として米欧と中露の対立の深化を避けながら11月の首脳会議(サミット)を成功させる必要に迫られており、訪韓前には日本のほか、中国も訪問し、習近平国家主席に協力を要請している。