直球&曲球

中江有里 「コロナの夏」3年目の危惧

大相撲名古屋場所十二日目を終えて、十両と幕内の力士の休場者は13人となった=21日午後6時21分、名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(中島信生撮影)
大相撲名古屋場所十二日目を終えて、十両と幕内の力士の休場者は13人となった=21日午後6時21分、名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(中島信生撮影)

中学生のころ、夏になると母が経営していた飲食店の近くのホテルには高校生の宿泊者が増えた。彼らは全国高等学校野球選手権大会に出場するために来阪した高校生たちだ。周囲の大人たちは母も含めて高校野球に夢中だった。普段は野球に興味のない私でも、高校球児の姿を一目見ると胸が躍った。夏休みは野球を身近に感じる季節となり、今も変わらない。

プロ野球を観戦するようになってからは、母が亡くなって一人で暮らす父と同じチームを応援している。球場で観戦する際は球場風景写真を撮って送ったり、試合の感想をやり取りしたりして野球を通じたコミュニケーションにも役立っている。

セ・パ両リーグは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一昨年から開幕延期や入場者制限を行っていたが、今年は通常に戻り、マスクや消毒などの感染対策をしながら球場で観戦できるようになった。声を出しての応援はできないが満員の球場での観戦は臨場感があって、テレビで観(み)るのとは全く違う面白さがある。

やっと収まるかと思っていた新型コロナは想像以上に手ごわかった。7月、ペナントレース1位独走中のヤクルトスワローズは、先だってコロナ感染により主力が大量離脱したため、予定されていた試合が数試合中止となった。巨人でも50人以上の陽性者が判明した。両チーム以外でも、複数人の陽性者が出ている。次にどのチームで感染者が出てもおかしくない。

大相撲名古屋場所でも陽性判定が出た力士と同部屋の力士は休場した。幸い千秋楽を迎えられたが、コロナ禍である限り、今後も危機は続く。

舞台やコンサートなど、観客が集まるイベントは陽性者が出ると中止になる。感染予防のためと分かっているが、3年目のコロナの夏を迎え有観客に戻った現在でも、コロナ対応のルールがあいまいなのではないかと危惧している。

コロナの特効薬、感染症法上の位置付け、多くの人が免疫を獲得する…専門家ではないので、何が正しいのかは分からない。これからもコロナと共(とも)に過ごすのなら、多くの人が報われる方法が見つかってほしい。

【プロフィル】中江有里

なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー。多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。文化審議会委員。

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