日清食品が昭和33(1958)年に発売した「チキンラーメン」が、8月25日に誕生64周年を迎える。お湯をかけて3分待てば出来上がるシンプルさと、さまざまなメニューにアレンジできる自由度の高さが多くのファンから支持を得ている。SNSなどで「昭和レトロ」が注目されるなか、8月8日には、昔ながらの「純喫茶」の定番メニューの味に近づけた新商品を発売する。
さまざまな具材でアレンジ
チキンラーメンは、日清食品の創業者・安藤百福(ももふく)氏が「お湯さえあれば家庭ですぐ食べられるラーメン」を追求して発明。そのエピソードは、安藤夫妻をモデルにしたNHK連続テレビ小説「まんぷく」でも描かれた。調理がシンプルなため、キャンプなど屋外での食事にもぴったりだ。昭和生まれなら、カヌーイストで作家の野田知佑さんがおいしそうに食べるCMを覚えている人も多いだろう。
特長はなんといっても、しょうゆベースのチキンスープで味付けした香ばしい麺。調理法は生卵を載せるのが定番だが、さまざまな具材と組み合わせることも可能だ。汁なしでカルボナーラ風にアレンジしたり、めんをおにぎりにまぶしたりするなどのアレンジを楽しめる。
新商品は「昭和の純喫茶」へ招待
8月8日に発売する3種類の新商品は、昔ながらの純喫茶の人気メニューを独自にアレンジ。チキンラーメンが生まれた昭和へと誘う。
「チキンラーメン汁なしどんぶり 純喫茶のナポリタン」(1食・税別214円)は、トマトをベースにケチャップをイメージした甘みと酸味、ベーコンの風味を加えた。 「チキンラーメンビッグカップ 純喫茶のピザトースト風 トマト&チーズ味」(同245円)は、トマトにチーズのうまみを加えたコク深い味わいのスープが特長。「チキンラーメンどんぶり 黄色いマイルドカレー」(同214円)は、マイルドなカレースープが野菜の甘みを感じさせ、具材にジャガイモを入れる。
パッケージは、チキンラーメンのシンボルにもなっている縞柄やマスコットキャラクター「ひよこちゃん」のデザインを引き継ぎながら、落ち着いた色合いやフォント、手書きタッチのイラストでレトロ感を演出している。
「0秒」でも食べやすく
調理せずに、おやつやおつまみとして食べられるのもチキンラーメンの魅力の一つだ。今年4月、お湯をかけずに食べられる「0秒チキンラーメン」(1食・税別123円)を発売。通常のチキンラーメンと比べ塩分をほぼ半減して「あっさりうす味」 に仕上げた。当初の販売計画を大幅に上回って十分な供給量を確保できず、販売を一時的に休止したが、今月25日に再開した。
チキンラーメンが切り開いた即席麺市場は現在、全国各地の人気ラーメン店の味を再現した本格志向の商品が相次いで登場するなど、競争が激化している。そんな中、還暦を過ぎても進化を続ける「開拓者」は、レパートリーを広げてファンの胃袋をつかみたい考えだ。(宇野貴文)