露、イスラエルに隔たり ウクライナ寄りで苛立ち

ロシアのプーチン大統領=25日、モスクワ(AP)
ロシアのプーチン大統領=25日、モスクワ(AP)

ウクライナに侵攻したロシアと、中立の姿勢をとってきたイスラエルとの間に隔たりが生じている。ユダヤ系住民のイスラエル移住を支援する組織に違法行為があったとして、露政府が解散を検討しているからだ。

ユダヤ系はウクライナとロシアに一定の規模で居住しており、デリケートな問題の一つ。イスラエルも侵攻後、両国の間を調停するなどしてきた。しかし、最近はウクライナ寄りの姿勢もちらついており、ロシアがいらだっている可能性もある。

ロイター通信によると、ロシアが問題視しているのは、同国内にあるユダヤ系の移住を支援する非営利組織。違法行為の内容は不明で、法務当局は近く詳細を明らかにするとしている。

ぺスコフ露大統領報道官は「状況を政治化する必要はない」とし、慎重に対応する方針を示唆した。ただ、ザハロワ露外務省報道官は「残念ながらこの数カ月、非建設的で偏見がある表現が耳に入る」と述べ、侵攻をめぐるイスラエルの姿勢に批判的な態度を示した。

イスラエルは5月、ラブロフ露外相が第二次大戦時のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)にふれ、ナチス・ドイツのヒトラーは「ユダヤ系だった」と発言した際、「許しがたい」誤りだとして駐在するロシア大使を呼んで謝罪を要求した。

また、イスラエルのラピド首相は7月中旬、バイデン米大統領と行った共同記者会見で、ロシアの侵攻を「不当」と表現する一幕もあった。

ザハロワ氏らの発言を受け、イスラエルのガンツ国防相は26日、5月中旬にシリアで空爆を行ったイスラエル軍用機に露軍が地対空ミサイルS300を発射したと明らかにした。ガンツ氏は「一度きりだ」と強調したが、ロシア側との意思疎通に問題が生じていることが浮き彫りになった。

シリアにはアサド政権を支持する露軍が駐留する一方、イランが軍事拠点を持っているとしてイスラエルがしばしば攻撃している。露軍はシリアにおけるイスラエルの行動を黙認してきたとされる。

イスラエルはロシアの侵攻後、防空システムなど兵器供給を求めるウクライナの要望に応じてこなかった。一方で対露制裁にも加わらず、双方の間でバランスを取ってきた。米国と友好関係にあるイスラエルの中立が崩れれば、ウクライナで続く戦闘に影響する可能性もある。

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